日本の象徴的ともいえる桜の代表格ソメイヨシノはクローンの木?!だからどこのソメイヨシノもDNAが同じ?!
日本の象徴となる国の花は、「桜」で、桜の中でも、特にソメイヨシノと呼ばれる桜の品種が日本の象徴として扱われることが多いです。
ソメイヨシノは、日本全国どこの県でも見ることができる桜であり、春になると天気予報で開花予想がされます。
私たち日本人を癒してくれるソメイヨシノという桜は、一体どんな桜の木なのでしょうか?
○ソメイヨシノは人工的に作られた品種?!
ソメイヨシノは、エドヒガン系の桜とオオシマザクラの交配よって生まれた品種とされ、人間によって人工的に作られた品種であるといわれていますが、実際のところ正確なことはわかっていません。
ソメイヨシノは、江戸の染井村の造園師が「吉野桜」として販売し、流通させたもので、奈良にある吉野山から命名されたものでした。
しかし、のちに調査すると、吉野山に生えているヤマザクラとは品種が違ったため、「ソメイヨシノ」という名前が付けられることになりました。
ヤマザクラではないことはわかりましたが、何の品種を掛け合わせた桜かわかる人はすでにおらず、現在でもソメイヨシノの誕生は曖昧なものとなっています。
ただし、自然ではなく人工的に作られた品種であることは予想がついています。
○品種がわからないからソメイヨシノを作ることができない。
ソメイヨシノの誕生は曖昧ですから、同じソメイヨシノを人工的につくることはできていません。
また、ソメイヨシノは、自家不和合性と呼ばれる、同じ種類の木では実をつけない性質が強く、他の木との交配では違う木になるので増やそうにも増やすことができません。
そのため、現在日本にあるソメイヨシノのすべては、数本の原木を切って植えるなどしたクローンの木になります。
ソメイヨシノは、いろいろな県にありますが、クローンの木なので違う県に生えている木でもDNAは同じである可能性が高いのです。
クローンではなく遺伝的な多様性がある桜であれば、同じ種類であっても病気への強さに変化がでますが、ソメイヨシノは数本の原木のクローンであるため、隣の木が病気にかかっていれば多くの木が病気にかかるという弱さもあります。
○桜前線ができるのはクローンであるためです!
桜の開花の時期になると、天気予報で桜前線について報道されますが、これはソメイヨシノがクローンであるためにできるとされています。
通常の桜は、遺伝的な違いが大きいので、同じ場所や隣の県でも開花の時期がずれやすく、開花時期を予想するのが難しいのです。
しかし、ソメイヨシノはクローンなので、ほぼ同じような特徴をもっており、開花を予想するのも安易になっています。
また、同じ場所に生えている桜は、ほぼ同時に開花して、ほぼ同時に散るので、ソメイヨシノの開花時期はとても見応えがあり、日本では花見が盛大に行われるのですね。
クローンの桜は、弱いという特徴がありますが良い点もあるのですね。
ソメイヨシノが開花したら癒されに行ってみてはどうでしょうか。
○ソメイヨシノにもサクランボができるけど美味しくない?!
ソメイヨシノが実をつけるというイメージが無い人が多いと思いますが、これは自家不和合性と呼ばれる同種では実をつけないという特徴を持っているためです。
つまり、私たちが花見を行うようなソメイヨシノしかない場所では、サクランボを見つけることはできません。
見つけられる場所は、ソメイヨシノと違う種類の桜が近くに植えられている場所です。
ソメイヨシノのサクランボは、赤黒い実をしており、味は酸味と苦みが強く、甘みは少ないとされます。
酸味の強い実が好きな人が食べると美味しいかもしれませんが、普通のサクランボが好きな人からしたら、美味しくでしょう。
また、多くのサクランボは、自家不和合性を持っているので、自分でサクランボを作りたいと思う人は、二本の種類の違う桜を買うか、自家不和合性ではない品種の桜を購入しましょう。
さらに、ソメイヨシノは植えられすぎによって、花粉が多く飛び自然界にソメイヨシノとの交配種が増えているとされています。
ソメイヨシノは、日本国の花であり、とても面白い品種です。
桜の時期に桜を眺めて楽しんでみてはどうでしょうか?
ソメイヨシノを見ることで、生活が楽しくなるかもしれませんよ。